結婚記念日
「あんた、もうすぐ結婚記念日よ」
「ウーン? 誰の結婚記念日だよ・・・(何も思い出していない)・・・」
「何言ってんのよ。もちろん私たちの結婚記念日でしょう」
「そうか、そう言えば 俺たち結婚していたんだな・・・(アルツハイマー初期症候群?)・・・」
「あんた、何 その言い草は」
「いやいや、あまりに当たり前のことなのですっかり忘れていたんだ・・・(と珍しく本音を吐露する)・・・」
「あんたはそんなこと言っているけれどもう30年が過ぎたのよ。この30年間いろんなことがあったわね」
「そう言えばいろんなことがあったなあ・・・(と口では言いながら何も思い出していない)・・・」
「あんた、覚えている、二人で区役所に婚姻届を出しに行ったのよね」
「ああ、あれは雨の日だったなあ。二人で相合傘で出かけて行ったんだよな・・・(とええ加減なことを言う)・・・)」
「何言っているのよ。あの日は五月晴れで東京の空には雲ひとつなかったわよ」
「アレッ、そうだった ? そう言えばそうだったなあ。あの日は俺は仕事を休んで出かけたんだなあ。お前と山手線の駅で落ち合って・・・(とまたまたええ加減なことを言う)・・・」
「あんた、いい加減にして。あの頃、あんたは仕事がなく無職でアパートでゴロゴロしていたんじゃないの。あの日、勤務先を休んだのは私の方よ」
「そうだった、そうだった。そんな時代もあったなあ。そう言えばあの時の区役所の受け付けの窓口の若い女性、けっこう美人だったなあ・・・(突然記憶が部分的に鮮明に甦る)・・・」
「あんた、そういうどうでもいい女性のことよく覚えているのね・・」
「なーに、あの時、こんな美人よりももっと凄い美人と結婚出来る俺は幸せだなあと思ったことを思い出しただけだよ・・・・(と懲りずにまたまたええ加減なことを言う)・・・」
「まあ、そんな女性のことどうでもいいけれど・・・」
「おいおい、そりゃー、よかないよ。あのうら若い女性がいなければ俺たち結婚できなかったのだろう・・・(となぜか急にムキになる)・・・」
「それ、どういう意味なの」
「いや、単純な意味さ。あの女性が『この書類は受け付けられません』と言ったら俺たちは一緒になれなかっただろうって意味だよ・・・(と結構真面目に言う)・・・」
「あんた、本当に馬鹿なことを考えるのね」
「いやいや、あの受付の女性、きっと若い俺たちが気にいって仕事を超えて入れ込んでくれたんだぜ。だからスーと婚姻届が受理されたんだよ・・・(と相も変わらずええ加減なことを言う)・・・」
「まあ、あんたは昔から勝手に何でも解釈する人だから、自由にしてくださいよ。でも人間不思議ねえ、やっぱり運命の赤い糸ってあるのかしら。あんたのようなグータラ亭主と出会ってさんざん苦労させられて、それでも今まで別れないでいるんだから・・・・・・」
「ウーン、そのお前さんがよく言う見えない運命の赤い糸というのも少し伸びきってしまった感じがするんだが・・・(と最後までええ加減)・・・」
「・・・(このグータラ亭主は本当に煮ても焼いても喰えないんだから)・・・」


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たそがれ親父の人生ノート
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「そう言えばいろんなことがあったなあ・・・(と口では言いながら何も思い出していない)・・・」
「あんた、覚えている、二人で区役所に婚姻届を出しに行ったのよね」
「ああ、あれは雨の日だったなあ。二人で相合傘で出かけて行ったんだよな・・・(とええ加減なことを言う)・・・)」
「何言っているのよ。あの日は五月晴れで東京の空には雲ひとつなかったわよ」
「アレッ、そうだった ? そう言えばそうだったなあ。あの日は俺は仕事を休んで出かけたんだなあ。お前と山手線の駅で落ち合って・・・(とまたまたええ加減なことを言う)・・・」
「あんた、いい加減にして。あの頃、あんたは仕事がなく無職でアパートでゴロゴロしていたんじゃないの。あの日、勤務先を休んだのは私の方よ」
「そうだった、そうだった。そんな時代もあったなあ。そう言えばあの時の区役所の受け付けの窓口の若い女性、けっこう美人だったなあ・・・(突然記憶が部分的に鮮明に甦る)・・・」
「あんた、そういうどうでもいい女性のことよく覚えているのね・・」
「なーに、あの時、こんな美人よりももっと凄い美人と結婚出来る俺は幸せだなあと思ったことを思い出しただけだよ・・・・(と懲りずにまたまたええ加減なことを言う)・・・」
「まあ、そんな女性のことどうでもいいけれど・・・」
「おいおい、そりゃー、よかないよ。あのうら若い女性がいなければ俺たち結婚できなかったのだろう・・・(となぜか急にムキになる)・・・」
「それ、どういう意味なの」
「いや、単純な意味さ。あの女性が『この書類は受け付けられません』と言ったら俺たちは一緒になれなかっただろうって意味だよ・・・(と結構真面目に言う)・・・」
「あんた、本当に馬鹿なことを考えるのね」
「いやいや、あの受付の女性、きっと若い俺たちが気にいって仕事を超えて入れ込んでくれたんだぜ。だからスーと婚姻届が受理されたんだよ・・・(と相も変わらずええ加減なことを言う)・・・」
「まあ、あんたは昔から勝手に何でも解釈する人だから、自由にしてくださいよ。でも人間不思議ねえ、やっぱり運命の赤い糸ってあるのかしら。あんたのようなグータラ亭主と出会ってさんざん苦労させられて、それでも今まで別れないでいるんだから・・・・・・」
「ウーン、そのお前さんがよく言う見えない運命の赤い糸というのも少し伸びきってしまった感じがするんだが・・・(と最後までええ加減)・・・」
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